読書メモ: CODE Version 2.0/4つの主題

CODE VERSION2.0

CODE VERSION2.0

なかなか読むのに骨が折れるので、まずは2章に提示されている4つの主題をメモ。
3章以降はこの4つの主題に沿って構成されています。

規制可能性 (Regulability)

規制可能性とは、政府がネット上での人々の行動を規制する能力を指す。これは、規制対象者についての以下の情報が得られることに依存する。

  • その人が何者か
  • その人がどこにいるか
  • その人が何をしているか

ある時点でのインターネットは、これらの情報が見えないアーキテクチャになっていたために、現実空間に比べて規制可能性が低い空間となっていた。(が、規制可能性の高いアーキテクチャもありうるし、実際そのように移行しつつある。)

コードによる規制 (Regulation by Code)

多人数オンラインゲーム (MMOG: Massively Multiplayer Online Game) 内では、人々の行動はコードを通して「規制」されており、異なるMMOG空間では異なるコードがありうる。ここでのコードは国や社会的制裁ではなく、それぞれの場所における (人為的な) アーキテクチャにより決定される。

これを一般化すると、サイバー空間 (cyberspace) あるいはインターネットの規制可能性は、コードの性質に依存する。このことから、政府にとってサイバー空間を規制しやすくするためのアーキテクチャを選択する可能性が存在する。

隠れたあいまいさ (Latent Ambiguity)

警察の捜査のために、ワームがインターネットを通して各個人のPCにばらまかれるという思考実験。もし犯罪者でない場合にはこのワームは何も悪影響をもたらさない。

伝統的な法令において、家宅捜索に捜査令状が必要であるのは、(1) (邪魔かどうかは無関係に) 容疑なしに政府が侵入することから市民を守る、(2) 市民の負担になる侵入から市民を守る、の2つの解釈がありえて、現実空間ではこの2つの区別は意味をなさないが、上のワームの状況ではどちらの解釈かによって合法的行為かどうかが異なる。

このように、サイバー空間では伝統的な法規制では判断できないあいまいさが無数に存在する。

競合する主権 (Competing Sovereigns)

現実空間においては、法規制や規範は物理的な所在に基づいて適用される。
一方、サイバー空間では、物理的にはある場所にとどまりつつ、現実空間の規範の及ばない形で行動することができる (具体例として、ネット上のニュースグループに、過激な性犯罪を描いた小説を投稿するという状況)。そのような行為を犯罪的と見るか否かは異なる解釈がありえて、その多様性は現実空間とサイバー空間の両方に同時にいられる状況に由来する。