第2回SBM勉強会の感想

12/6(土)に開催された第2回ソーシャルブックマーク研究会に参加してきました。

すでに詳細な参加レポートが出ているので、簡単に感想だけ。

SBMがつくるコミュニティ、SBMでつくるコミュニティ - 研究・サービスの両面から

発表者: 大向 一輝さん (国立情報学研究所/株式会社グルコース)

研究のアプローチとして、既存の数理モデルを当てはめるのではなく、コミュニティにどっぷりつかることでシンプルな仮説を作り、検証することと表明されていたのが印象的でした。ソーシャルメディア系の研究では、対象を遠くから眺めているだけでは本質がつかめないんじゃないかという感覚を何となく持っているので。

研究内容については、「1ゲッター」(多くのエントリについて最初にブックマークする人) に着目したという点は筋が良さそう。

ソーシャルブックマークデータの時間情報を使った情報フィルタリングと検索

発表者: 上野 大樹さん (慶應義塾大学)

短期的に多数のブックマークを集めるエントリと、長期的にブックマークを集め続けるエントリには、直観的には確かに性質の違いがありそうですね。

ただ、その情報を使ってランキングなり推薦なりをした場合に、定量的に有用性を評価するのが難しそう。最終的には、「この検索結果は役に立ちましたか? YES/NO」ようなアンケート方式なのか?

はてなブックマークについて

発表者: 伊藤 直也さん (株式会社はてな)

この発表の間だけ明らかに会場が雰囲気が違うのが面白い。やっぱり参加者の多くははてなブックマーク好きなのか?

内容としては、全オープンだとかえってタコツボ化を招く、適度なコミュニティ分割やフィルタリングを行うことによって新規ユーザ参入の障壁を下げられる、という考えが興味深かったです。

パネルディスカッション

メインの話題は、SBM研究で使うデータのSBM事業者からの提供というもので、先日参加した「WebDB Forum 2008」でも類似した話題が取り上げられていました。

ただ、例えば推薦アルゴリズムの効果を検証するためには、最終的には自前の推薦サービスを持つ必要がある気がするので、単にデータをもらってくれば良いという問題ではないでしょうねぇ。再現可能性という観点で、共通のデータセットを持つ必要性というのは分かりますが。

あと、SBM事業者−SBM研究コミュニティ という枠組では、自分のようにどちらにも属さない立場だと微妙に蚊帳の外という気分。

全体の感想

最後のパネルディスカッションからの印象が大きいかもしれませんが、第1回に比べて、アカデミックな色合いが濃い印象を受けました。

あと、第1回と共通して、参加者層が技術者/研究者とヘビーユーザに偏っている印象で (当然と言えば当然ですが)、ソーシャルブックマークのより一層の普及という観点からは、もっと幅広い層の参加者がいると面白いかなと思いました。

ともあれ、自分のよく行くスクリプト言語系のカンファレンスとはちょっと違った雰囲気で、いろいろと刺激になりました。