オバマ大統領と共感型コミュニケーション
斜め読み感想。
オバマ現象のカラクリ 共感の戦略コミュニケーション(アスキー新書)
- 作者: 田中愼一,本田哲也
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2009/02/11
- メディア: 新書
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今回の大統領選挙では、SNS活用などに関して、今までと違った流れが起こったらしいとうことは何となく知っていても、その全体像はもうひとつ見えにくかったので、その辺を理解するという目的で購入しました。
本書では、2008年米国大統領選挙におけるオバマの選挙戦略を、「共感型コミュニケーション」という軸で分析しています。
共感型コミュニケーションとは、説得型コミュニケーションと対比したもので、以下のように定義されます。
・説得型コミュニケーション: 対立する意見を論破することを通して、相手を動かすコミュニケーション。単一の価値観を前提とする。
・共感型コミュニケーション: 人々の共感を引き起こすことを通して、人々を動かすコミュニケーション。多様な価値観を許容する。
歴代の米国大統領は説得型コミュニケーションを中心としていたのに対して、オバマは共感型コミュニケーションを全面的に用いたことが画期的であると。
この認識に基づき、オバマのコミュニケーション戦略を分析しています (第3章: 三位一体の戦略コミュニケーション)。この中で特に重要と思った内容を箇条書きにします。
- 政策を直接訴える "直接話法" ではなく、「気づき」を促す "間接話法" を使う
- SNSなどを活用した草の根的な選挙活動、個人からの献金システムを通した参画意識の醸成
- 第三者 (インフルエンサー) により、メッセージの影響力を飛躍的に高める「コミュニケーション・レバレッジ」
「共感型コミュニケーション」は、CGMやオープンソースに代表されるような自発的な協力の形態と非常に関係が強いように思います。それが一部の限られたユーザ層ではなく、米国大統領選挙という形で社会に大きな影響力を与えるに至ったという点で、"オバマ現象" は歴史的な重要性を持つ、というふうに理解しました。