『パターン、Wiki、XP』読書メモ (その1)

続き: 『パターン、Wiki、XP』読書メモ (その2)

この本、しばらく前に届いた後積ん読していましたが、RubyKaigi2009でテンション上がった勢いで読み進めています。

パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

まだ前半までしか読み終えていませんが、今までの自分の経験や見聞から形成されたぼんやりした価値観に近いものが、どういう背景を持つものかがかなり明確に言語化されている感じがして、読んでいてワクワクします。

以下、まとめて感想という形で書くのは荷が重いので、読書メモという形で気になったところをピックアップします。

1章: クリストファー・アレグザンダーによる美の原理の追及

  • 恥ずかしながら、この本を読むまでクリストファー・アレグザンダーの存在を知りませんでした…
  • ツリー化した構造分析に基づくダイアグラム作成。一種の制約充足問題?
  • 「都市はツリーではない」。長い年月をかけて形成された自然都市がツリー構造を持たないのは直観的に理解できます。

2章: アレグザンダーの6つの原理

  • ここで言う「6つの原理」とは、『オレゴン大学の実験』(1975年) で示された以下の原理。有機的秩序の原理、参加の原理、漸進的成長の原理、パターンの原理、診断の原理、調整の原理。
  • 全体としてソフトウェア開発におけるバザールモデル、あるいはブログやソーシャルブックマークのようなCGMを連想します。
  • ブランコの比喩はよく見かけますが、『オレゴン大学の実験』で有名になったものだそうで。

3章: パターンランゲージ

  • 「パターン」とは、建設環境に繰り返し現れる課題とその解決策を記述したもの。パターンには、それが使われる前提条件と、パターン同士を組み合わせる制約条件がある。
  • パターンとその集合の関係を、単語と言語の関係になぞらえて、パターンの集合を「パターンランゲージ」と呼ぶ。この辺はチョムスキー生成文法のようなイメージで理解しました。

4章: 時を超えた建設の道

  • キーワードは、「無名の質」(Quality Without A Name, QWAN)
  • まあ、「無名の質」はよく分からないですね。意訳すると、「えも言われぬいい感じ」(by 角谷信太郎さんと。

5章: パターンランゲージによる建築の実際

  • パターンランゲージによる建築とは、レゴブロックのようなありもののパーツを組み合わせることではないと。この点は「パターン」という言葉から受けた連想とは違っていました。
  • パターンランゲージによる建築の日本での実践では、建設費の制約によるゼネコンへの発注から、必ずしもアレグザンダーの理想通りには行かなかった。この辺は、日本のSIにおける多重請負とアジャイル開発との関係を連想しました。

6章: アレグザンダーの現在

  • 建設の世界ではアレグザンダーの影響力は小さいものにとどまったとのことで、仮にアレグザンダーの理論による都市計画がなされたらどうなっただろうと考えると、惜しい感じがします。

とりあえずここまで

メモのために読み返していたら思った以上に時間がかかったので、とりあえずはここまで。自分が 持っていた価値観との対比としては、
トップダウンではなく利用者の寄与を重視
・漸進的なプロセスの重視
という辺りが特に共感を持つところです。

パターンランゲージに関しては、私はいわゆるデザインパターンは得意ではないこともあって、正直まだピンと来ていない部分があります。ただ、パターンランゲージボトムアップ的/漸進的なプロセスを前提としていることを知ったのは収穫でした。
もし飽きていなければ、明日以降続きの読書メモ書きます。